「ジャズCDを作る人」

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おひさしぶりです。ジャズ担当の神尾です。
さっそくですが、お店にはいろいろな方がいらっしゃいます。老若男女、CDを買う人、見る人、試聴する人、待ち合わせの人などなど・・
そして、ジャズでは意外と多いのが、CDを作ったので取り扱って欲しいという人です。ミュージシャンだったり、レコードレーベルの方だったり、プロデューサーだったりします。
今回はそんなCDを作っている人の話です。

みなさんは本の街、神保町の路地裏にある、アディロンダックカフェというジャズ喫茶をご存じでしょうか?2008年に開店したお店です。マスターの滝沢理さんは、1970年代にアメリカに移住し、現地でヴィンテージのジャズレコードを扱っていたディーラーです。1995年に日本に帰国した後はアディロンダックというコレクター向けのレコードを扱うお店をされていました。なんというかもう・・それは筋金入りのジャズマニアです。

アディロンコーヒー
▲アディロンダックカフェのコーヒーとSPレコード

そんな滝沢さん、アメリカから持ち帰ったレコードを日本で売りつくした後は、ジャズファンと語り合う場として、ジャズ喫茶の開店を目指していたそう。カフェの激戦区でもある神保町で、幅広く良質なジャズが聴けるお店として開店以来ファンの集まる場所として親しまれています。

アディロンドア
▲アディロンダックカフェの入り口。前歴からして敷居が高そうに思ってしまいますが、書店まわりの後、
普通に?一服と立ち寄られる方も多いそうです。

で、やっと本題。ジャズ喫茶開店の野望の次はお気に入りのミュージシャンのCDを制作することでした。お店ではライブも行っていたので演奏を間近で聴き、ミュージシャンの動向をチェックしていました。レコーディングは当然お店で、アットホームな雰囲気のライブをパッケージしています。

アディロン4W
▲2021年10月時点で、4枚を制作。左から板谷大、続木力、土田晴信、八木隆幸の各作品

板谷大『トプシー』
ピアノ、ギター、ベースというトリオに、ゲストで2曲テナーサックスが入ります。モダンというよりスイングなスタイルの演奏。「キャンディ」は名演です。名曲が次々と演奏される楽しいCDです。

続木力『ドキシー』
これは珍しい、ハーモニカ、ピアノ、ベースという編成。ピアソラ、ソニー・ロリンズにキース・ジャレット・・いろいろなタイプの曲を演奏していますが、すべてが実に個性的。

土田晴信『サニー』
アメリカはシカゴ仕込みのオルガニスト、ハルさん。バリバリのソウルジャズを聴かせます。グルーヴィーな曲もいいのですが、メロディの美しさをしっかり聴かせるソウルバラード「サニー」に感激。アディロンダックがハーレムのジャズクラブに!

八木隆幸『マトリックス』
大学卒業後、ニューヨークに渡り、ウォルター・ビショップJrらについて学んだというピアニスト。バウンスするブルージーな「スィート・アンド・ラヴリー」がオープニング。以前、お店に伺った時に、ちょうどこのCDの曲順をマスターが悩みながら決めていたのを思い出します。

どのディスクからも、マスター好みの趣味のいいジャズが聴こえてきます。個人的にもよく聴いた、第1作の板谷大さん。当店での販売も100枚を超えています。このCD、一度完売したと連絡がありましたが、カフェの奥からもうひと箱ストックが見つかり!ファンが喜んだという逸話も・・アディロンダックというお店を愛するミュージシャンの思い、滝沢さんのジャズ愛、(ジャケットを含めた)手作りの作品の温もりが伝わってきます。ぜひチェックしてください。気になった方は、ぜひお店も訪ねてみては・・

最後に、実はこのnoteを書き始める少し前に、板谷大さんの訃報が伝わってきました(2021年9月19日)。CDを聴きながらご冥福をお祈りいたします。

(2021年10月11日記 山野楽器 noteより修正・転載 神尾 孝弥)

※一部、限定盤・輸入盤等もご紹介しています。入荷が不安定になる作品もございます。品切れ等の際はご了承ください。

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