ジャズの聴き方・・比較式と芋づる式?

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おひさしぶりです。ジャズ担当の神尾です。

えー、何でもそうですが、比べてみないと「これはこうだ」って言えないですよね。味噌つけ麺と辛子味噌つけ麺、かつ丼と味噌カツ、今川焼とたい焼きなどなど(食べ物ばかりですみません)。。もちろんジャズも同じで、例えばオスカー・ピーターソンとビル・エヴァンス。マイルス・デイビスの『カインド・オブ・ブルー』と『ビッチェズ・ブリュー』。ノラ・ジョーンズとダイアナ・クラール。新しいジャズと聴き継がれる名盤などなど。聴き比べて、やっぱりこっちが好きって感じるのは、音楽を楽しむ基本ですよね。

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▲ダイアナ・クラール、ノラ・ジョーンズのロングセラー盤。
ケニー・バロンのトリオ名作、バロンが参加する、ジョー・ファーンズワース(ドラム)のCD。

いきなり脱線ですが、売場にいると「ジャズのおすすめCDをください」なんていうリクエストをよく受けます。お客さまの好み、要望を聞いて・・その上で、ピアノ、ホーン楽器、ビッグバンドだったり、新しいCD、昔の名盤を交えておすすめをします。
もし、ピアノ盤を聴いてピンとこなければ、ヴォーカルやホーンを楽しんで欲しいですし、何かしら興味を持っていただけるよう、少し幅をもったおすすめをしています。これも聴き比べ本能の現れでしょうか。

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▲ある日のおすすめチョイス盤、ブルー・ミッチェル(トランペット)、バルネ・ウィラン(サックス)、チャンピアン・フルトン(ヴォーカル)の各盤。どれも担当おすすめです。

話を戻して、お問い合わせの多い(当店比)、ピアノトリオ作品で話を進めます(個人的にも好きなもので・・)。

その中でも、ストレートにモダンジャズのピアノを代表して、オスカー・ピーターソン(1925年8月15日生まれ)、ビル・エヴァンス(1929年8月16日生まれ)としましょう。
どちらも巨人ですから、演奏は個性的。そしてスタイルは大きく(ある意味両極端なくらいに)異なります。
・鍵盤の全体を使って大きくスイングする、ピアノ主役型のオスカー・ピーターソン。
・音楽に対して自分をぶつけ、孤高のピアノ演奏でありながら、トリオ三者のやり取りで音楽が進んでいくビル・エヴァンス。
・・という感じでしょうか?

(恐縮なくらい大まかですが)ピアニストで、同じ時代に演奏活動をしていて、一時は同じレコード会社(1960年代前半、ヴァーヴレコード)に所属しつつも演奏のベクトルが大きく異なります。

これはそれぞれの名作、例えばピーターソンの『プリーズ・リクエスト』(1965年)、エヴァンスの『ポートレイト・イン・ジャズ』(1960年)を聴き比べると「感じて」いただけると思います。

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▲今回の比較盤、オスカー・ピーターソン、ビル・エヴァンス。

そこに、セロニアス・モンクやバド・パウエル(個性派の2人)。ハンク・ジョーンズ(美しいタッチが特徴)やレッド・ガーランド(小気味よいスイング感)など加えて聴き比べると、個性の違いからジャズの世界が広がっていって、とても楽しいと思います。私もこういう比較式の聴き方をしてきて、いまでもジャズを聴くのが楽しくてしょうがないです。

こうして興味を持ってくると、キース・ジャレットやチック・コリア。小曽根真や上原ひろみ。現役のジャズを紹介するレコード会社、ヴィーナスレコードの諸作品。ヨーロッパのジャズにこだわる、大阪の澤野工房のラインナップなどが気になってくると思います。ピアノだけでも、アメリカからヨーロッパなどなど、そしてもちろん日本の演奏家。いろいろな個性が感じられると思います。

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▲小曽根真、上原ひろみ、チック・コリア、ロベルト・オルサー、ピアニストのいろいろなCD。

そして、何枚か聴くと今度は、このバックの「ドラムの人が気になる」とか、この「ラウンド・ミッドナイト」という曲が気になる・・何てこともあるでしょう、こうして聴き方が拡がるのも楽しい。いわゆる芋づる式の聴き方ですね。

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▲私がジャズを聴き始めた頃に買った、マイルス・デイビス『グレイテスト・ヒッツ』。
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▲上記レコードの収録曲、演奏メンバーを見てみると・・かなり「芋づる」の度合いの高い盤だと思います
(平成の始めに入手しました)。

こんな聴き方って、ジャズに対しての感受性、幅を広げてくれるものですよね。また上に挙げたピアニストたちも(間違いなく)憧れの演奏家との出会いや、弾きたい曲があって、(比較の上に)自分らしさを出し、音楽を作ってきたのだと思います。

ぜひ、何枚かの作品を手に取って、好きだったり気になった作品を聴き比べてみてください。比較式でも、芋づる式でも、ジャズの世界が身近になって広がっていくと思います。

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▲売場の棚から、いろいろお選びしています

売場でもどうぞお気軽にお尋ねください。私自身もいまだに聴き比べでジャズを楽しんでいます。
・・ということで、今回はこの辺りで。

ジャズを聴き比べて30年・・(神尾 孝弥)(2022年3月19日記 山野楽器 noteより修正・転載)

※一部、限定盤・輸入盤等もご紹介しています。入荷が不安定になる作品もございます。品切れ等の際はご了承ください。

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